いくとせについて

いくとせができるまで

きっかけ

Storyworthを知った

アメリカに、Storyworth(ストーリーワース)というサービスがあります。毎週ひとつ質問を送り、1年分の答えを本にする仕組みです。2013年に始まり、家族経営のまま今も続いています。この仕組みを知ったことが、いくとせの出発点でした。

実家の片付けを手伝っていたとき、引き出しの奥から古い写真が出てきた。裏に鉛筆で何か書いてある。誰かの名前と、たぶん日付。読める字と、もう読めない字が半分ずつだった。捨てるかどうか、少し迷った。

父に見せると、少し黙ってから「誰だったかな」と言った。困った顔ではなく、静かな顔だった。僕は拍子抜けした。父はなんでも知っていると、なんとなく思っていたからだ。

聞けばわかると思っていたことの半分くらいは、聞いてももうわからない。わかるうちに聞いておきたいことが、まだいくつもある。そう気づいたところから、いくとせは始まっている。

日本の隙間

日本には取材型しかない

日本にも、自分史や大切な人の話を本にするサービスはあります。ただそのほとんどは、ライターが取材して書く「取材型」で、12万〜30万円ほどかかります。もっと気軽に、日常の中で少しずつ答えられて、価格も抑えられる方法があってもいいはずです。いくとせは、9,800円・1年かけて、その人自身の言葉で答えていく方式を選びました。

設計の芯

答える人がLINEの外に出ない設計

いくとせの設計は3つの芯でできています。答える人はLINEの外に出ないこと。音声と写真だけで1年間答えられること。その人の言葉を直さないこと。新しいアプリのダウンロードも、ログインも要りません。ふだん使っているLINEで、毎週ひとつの質問に答えるだけです。

名前

名前の意味(幾年)

「いくとせ」は幾年(いくとせ)と書きます。何年たっても、ひらける本という意味を込めました。1冊目は「ひととせ」、2冊目は「ふたとせ」と続きます。

直したほうが、きれいな文章になる。誤字も言い間違いも整えられる。それでも、直さないと決めた。話し方まで含めて、父の話だと思っているからだ。

新しいアプリも、覚え直す操作も要らない。今までどおりのLINEで、週にひとつ答えるだけでいい。それくらいの重さなら、1年続けられる気がした。続けられなければ、意味がない。